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2005年 10月 10日
名古屋生まれなので、昔から中日ドラゴンズが好きなのだが、正直に言うとファンというほどでもない。ドラゴンズが勝ったときくらいは新聞を読むが、負けたときなど見る気もない。 しかし、村上ファンドと阪神球団(というか日本プロ野球組織)のガチンコ勝負にはきわめて強い関心がある。 なぜなら日本の組織の中で最も古い体質を残していると思われる日本プロ野球組織がどのように法律や資本の論理に立ち向かうつもりなのかが面白いからだ。 こういうケースは事実を確認することが重要であろう。 読者の皆さんも一度冷静にいろいろなことを確認してみるのがよかろう。 前提として、新聞に掲載されている関係者の発言が事実だということは疑わないことにする。 日本プロ野球組織(NPB)の根来泰周コミッショナーの発言 「協約についてどんな意見を持っているか、各オーナーに聞いてみたい。まずい、となれば協約改正もある」 次に巨人の渡辺恒雄会長の発言 「ハゲタカが乗っ取って売買するのは3条違反だ。(上場すると)公共財でなくなる。断じてさせない」 日本プロ野球組織なる組織はいったいどのような組織であるのか?協約とは何か? 日本プロ野球組織の公式サイトを見てみた。組織に関する説明はない。協約も見当たらない。 一般的に協約とは「個人と団体、あるいは団体相互の間の交渉や協議によって結ばれた契約。取り決め。」と辞書に載っている。 日本プロ野球組織を構成しているメンバーが何か相互に取り決めがあるということはわかる。 しかし、協約が開示されていない以上、メンバー以外の人は知りえない。 ※ちなみに協約3条とは「野球が社会の文化的公共財となりうるよう努める」という内容である。 昨年、近鉄とオリックスの合併問題で巨人渡辺氏の「たかが選手」発言から古田選手会会長が獅子奮迅の活躍をしたことは記憶に新しい。 そこで、選手会の公式サイトも見てみた。 そこには協約が公開されていた。 つまり、日本プロ野球組織は共通の目的を持って運営される組合組織であることが分かる。 ※その運営ルールが規約ではなく協約ということなのだ。 加入しているメンバーはこのルールに同意して参加しているのだから、ルールを守れ、さもなくば仲間とは認めないということが協約の意味だが、協約が公序良俗や法律に違反をしていればそれが無効であることは言うまでもない。 「格安!お一人100万円で殺人を請け負います」という殺人組合の規約があったとしても無効である。 職業選択自由の権利を奪う憲法違反の疑いの濃いルールも協約にある。 ※日本プロ野球組織が開示をしないのに、選手会が代わって開示している理由もそこにある。 根来コミッショナーが今回の問題を仲間内のルールだけで処理しようとしているが、これが商法の規定である株主の権利を侵すかどうかは裁判所の判断である。株主の権利を侵す内容が協約にあれば協約が無効になる。 こうした協約の上位に法律があることを確認した上でそれぞれの人の発言を吟味してみよう。 根来コミッショナーが(阪神球団が上場した場合)問題だと認識している根拠は以下の三点である。 ※上場できるかどうかは取引所の審査があるから別問題だが、できるとして。 「1)株買い占めの恐れがあること、2)(球団経営の)責任が不明確になること、3)投機の対象になること」 1)株の買占めの恐れがあるという点については一般の規制と同じである。5%ルールやTOBに関するルールはある。これさえ守っていれば少なくても法律的には問題がない。根来コミッショナーが言いたいのは買占めそのものではなく買占めの結果起きると根来氏が想定していることだ。なぜならダイエーからホークスを買ったソフトバンクは歓迎されたのだから。 要は日本プロ野球組織の意に沿わないメンバーが加わるのが不愉快なのである。 渡辺氏の発言も村上ファンドを「ハゲタカ」と断じている。村上ファンドが被買収企業の資産に着目して買収後その企業の資産を売却し投下した資金との差額を稼ぐいわゆるフィナンシャル・バイヤー=ハゲタカなのか、新たな経営資源を投入して企業価値を向上させ長期の資金回収を目論むストラテジック・バイヤーなのかここではわからない。 阪神球団は非公開企業なのでどの程度の資産価値を持つものか外部のものはわからないが、阪神球場だけを売却しても投下した資金に見合うかどうか疑問である。 阪神球団の選手やブランドを生かしてこそ、投下した資金が回収できる。 経済合理性の塊のような村上氏がこれを無視して行動することはありえないだろう。 吉本興業を買収したのだったら、タレントは個別独立した価値を持ち高値で売却できるかもしれないが、プロ野球は他球団がなければ興行にならない。 2)(球団経営の)責任が不明確になることについては責任の中身の問題である。仮に経営がうまくいかず球団を手放すことが責任放棄というなら責任放棄をした企業など枚挙に暇がない。一部のファンは近鉄を非難したかもしれないが、球団を維持するにはオリックスと合併させるほうがいいという市場の論理の正しさは証明されている。 3)投機の対象になることについてだが、投機がなぜ悪いのか、投資と投機は何が違うのかなど理由を述べているわけではない。 一般的なことだが、仮需なしに実需だけで取引を行うと取引は一方向に流れ、却って実態的な価値から大きく乖離する可能性が高い。 株式取引においても信用取引が認められているように仮需は価格形成を平準化するために必要な機能なのである。 仮需の源泉である期待が間違っていれば、投下した資金が減るだけであり、自己責任である。 ということで、これをまとめると根来氏や渡辺氏は合理的なことは何一つ言っておらず、むしろ市場のことをほとんど知らない、ないしは無視していることを露呈した。 世論はどのように形成されていくのかわからないが、札束でひっぱたく方法で選手をかき集めた巨人が没落し、日本テレビの凋落振りが浮き彫りになって当然と考えたファンが、阪神や中日などが優勝するようになり、ようやく少しプロ野球もおもしろくなりそうだと思ってきた矢先である。この世論はバカにできない。 渡辺氏の発言「上場したら八百長やバクチの温床になる」に対して、TOTOをやっている日本サッカー協会は断固抗議するべきだ。 9日の朝日新聞には「球団上場で想定される利点と問題点」が整理されていた。 いちいち解説はしないが、利点のほうはほぼ事実という項目が多かった。 しかし、問題点は事実誤認か仮説にしか過ぎないケースが多かった。 コラムとしてはすでに適切なボリュームを超過しているのでこのあたりで筆をおくが、経過にあわせてさらに突っ込んで考えてみたいと思う。 #
by gummnao
| 2005-10-10 23:21
| 新聞より
2005年 10月 06日
トヨタはさすが徳川家康の地元なので、待つことは得意なようだ。
「鳴かぬなら鳴くまでまとうGM、フォード」ということでしょうな。 戦わずに勝つというのがもっともすぐれた戦法であることは Not to mention. VWはポルシェにいっちゃったけれど、もう少し待てばいいんでしょ! トヨタに死角はないのか? 京都議定書はどうよ! ハイブリッドだって、所詮ガソリン炊いてるんでしょ? 経団連会長だから環境税はドンブリ勘定で税金が有効に使われるかどうかワカラン!というのは正論にしてもクリンチでいつまでも逃げられないと思うよ。 カテゴリー3くらいで再びニューオリンズが水没したら、世論も巻き起こるのじゃないかな? 後は人をどんどん固定化していることかな? 熟練ロボットだけじゃ、間尺に会わない。 期間工を正社員にしているようだけれど、原価はミシシッピ川の水位のように上がり続けている。 てなことを書いているが、かえるの面に・・かな? #
by gummnao
| 2005-10-06 22:00
| 新聞より
2005年 09月 11日
自民党の圧勝でした。自民党だけで過半数を握れるのは市場も読んでいなかったのではないだろうか?
さて、明日の株式市場はどうなるだろう? 順当にいけば、市場は上昇するということだろうが、期待はすでにあり、株価はかなりの部分織り込んでいると思う。 圧勝ゆえの悩みも出てくる。公明党の取扱をどうするかまでは考えていなかったのではないか。参院は微妙な情勢だから、公明の力を借りないと乗り切れないが、もはや運営協力を頼まなくても基本的によい状況なので、ことあるごとに距離を置くようになるのではないか。 こうした混乱がどの程度発生するか? 私は大引け下がると思うが、皆さんはいかが? #
by gummnao
| 2005-09-11 23:53
2005年 09月 11日
先週の日曜日、うちの奥さんとデート代わりにいってきた。
したがって、今日はおうちでゆっくり。雨樋が詰まっていたのを修理しただけ。 さて、先週の読書は車谷長吉の「赤目四十八滝心中未遂」と中島らもの「とほほのほ」と2冊。 両方とも自分の恥ずかしい部分をこれでもかと文章にしている点は共通しているが、テイストはまるで正反対。 車谷長吉の「銭金について」と「盬壷(しおつぼ)の匙」を買ってきてまだ読了していないが、独特の貨幣観を長吉は持っているようだ。 こたつも最近四十歳代になってようやく買っている状況で、クーラーも見かねた知人が買い与えたようだが、即座に人にくれてやっている。 貨幣の悪魔性について確信しているようだ。 機会を改めて、もう一度これについては言及しよう。 金銭ということに関しては中島らもも共通の感覚を持っている。 ギターをはじめとする弦楽器に興味が少年のころからあるのだが、お小遣いをコツコツためるということは極端にニガテなようだ。 それより、欲しいものがあれば自分で作るというクリエイテビィティーあふれる人だから、あまり金銭に対しては頓着がない。 金融機関に勤めるものとして、こうした経済学や金融のモデルからまったく遠い人が一番扱いにくい。 車谷の私小説は力強かった。こんなに迫力のある私小説にお目にかかったことはない。 オススメ。赤目四十八瀧心中未遂 車谷 長吉 / 文芸春秋 ISBN : 4167654016 スコア選択: #
by gummnao
| 2005-09-11 19:06
| 日記
2005年 08月 30日
先日、鷺沢萠の「F:落第生」を読んだのに引き続いて「葉桜の日」を読んだ。
豪快で柔軟、一途でいながら、したたかな鷺沢がなぜ自殺をしたのか今でも謎らしいが、 ひょっとしたらその出自に理由があるのではないかというような気もした。 「シコちゃんの夏休み」などは重松清のテイストに近いと思ったが、考えてみると年齢がまるで違うので、その感性の鋭さには脱帽せざるを得ない。 何冊か読んでみようかな。F―落第生 鷺沢 萠 / 角川書店 スコア選択: #
by gummnao
| 2005-08-30 22:28
| Book
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